高齢者の認知症を早期発見|見逃さないサインと対処法

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「お母さん、さっきも同じこと聞いたよ」——実家に帰るたびに、そんな会話が増えていませんか。冷蔵庫を開けると同じ食材が何個も並んでいたり、テーブルの上には探し物をしたあとの散らかりが残っていたり。電話越しでは元気そうに聞こえても、顔を合わせると「あれ?」と感じる瞬間が、少しずつ積み重なっていく方は少なくありません。

「年のせいかな」「気のせいだよね」と自分に言い聞かせながらも、心のどこかで「もしかして認知症の始まりでは」という不安がよぎる——そんな複雑な気持ちを抱えている方に向けて、この記事では認知症の早期サインの見分け方と、気づいたときに家族としてできる具体的な行動をまとめました。

なぜ「早期発見」がこんなに大切なのか

認知症は、気づいたときにはもう手遅れ、と思われがちですが、実はそうではありません。早期に気づき、適切なサポートにつなげることで、進行を穏やかにしたり、本人が「自分らしく」過ごせる時間を長く保てることが分かっています。

国立長寿医療研究センターの調査でも、早期の生活支援や治療介入が症状の安定に役立つことが示されています。厚生労働省も、認知症の人ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会を目指し、早期発見・早期対応の重要性を呼びかけています。

「ただの物忘れ」との違いを知っておく

加齢による物忘れと認知症による物忘れは、似ているようで質が異なります。加齢の場合は「昨日の晩ごはんの内容を忘れる」ように体験の一部を忘れますが、認知症の場合は「昨日ごはんを食べたこと自体」を忘れてしまうことがあります。

  • 加齢によるもの忘れ:体験の一部を忘れる。ヒントがあれば思い出せることが多い
  • 認知症によるもの忘れ:体験そのものを忘れる。ヒントを出しても思い出せないことが多い

見逃さないための早期サインチェックリスト

以下のチェックリストは、多くのご家族が「あとから振り返ると当てはまっていた」と感じるポイントをまとめたものです。次に実家に帰ったとき、さりげなく様子を確認してみましょう。

記憶・思考に関するサイン

  • 同じ話・同じ質問を何度も繰り返す
  • 最近の出来事をすぐに忘れてしまう
  • 探し物が増えた(鍵・財布などをよく失くす)
  • 言いたい言葉がすぐに出てこない(「あれ」「それ」が増える)
  • 買い物のお釣りの計算など、簡単な計算にミスが増えた

日常生活に関するサイン

  • 料理の手順がわからなくなってきた
  • 公共料金の支払い忘れ・二重払いが増えた
  • 薬の飲み忘れや飲み過ぎがある
  • 季節に合わない服装をするようになった
  • 慣れた道で迷子になる

気分・行動に関するサイン

  • 以前より怒りっぽくなった
  • 趣味や外出への意欲が急に低下した
  • 疑い深くなった(「財布を盗まれた」など)
  • 夜中に起き出す・昼夜逆転がある

3〜4項目以上に当てはまる場合は、早めに医療機関に相談することをおすすめします。気になる症状がある場合は、自己判断せず必ずかかりつけ医にご相談ください。

認知症早期サインのチェックリストのイメージ
気になる項目を書き出してみましょう

認知症にはいくつかの種類がある

認知症とひとくくりに言っても、種類によって症状や進み方が異なります。原因を知っておくことで、受診時の説明もスムーズになります。

アルツハイマー型認知症(全体の約7割)

最も多いタイプで、脳の神経細胞が徐々に失われることで起こります。記憶障害から始まり、ゆっくりと進行するのが特徴で、薬によって進行を遅らせられる場合があります。

血管性認知症(全体の約2割)

脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって起こります。症状が段階的に悪化し、できることとできないことの差が大きいのが特徴です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因になることもあります。

レビー小体型・前頭側頭型認知症

レビー小体型は幻視や歩行障害、症状の波が大きいことが特徴です。前頭側頭型は比較的若い世代にも起こりやすく、人格や行動の変化が先に現れることがあります。いずれも専門医による見極めが重要です。

受診前にできる「もの忘れ相談」の活用

「いきなり病院はハードルが高い」と感じる方も多いはずです。そんなときは、市区町村の地域包括支援センターが窓口となる「もの忘れ相談」や、自治体主催の認知症相談会をまず利用するのも一つの方法です。

専門職が生活状況を聞き取り、必要に応じて医療機関につないでくれるため、いきなり受診するより心理的な負担が軽くなることがあります。地域包括支援センターは自治体ごとに設置されており、電話一本で相談できる点も心強いところです。

気づいたら、まず何科を受診する?

「まだ大丈夫だろう」「認知症と言われたらどうしよう」と、受診をためらう方は少なくありません。しかし認知症は早期発見・早期対応が本人にとっても家族にとっても安心材料になります。

  • 物忘れ外来・認知症外来:専門的な検査・診断が受けられる
  • 神経内科:脳・神経の専門科で詳しい検査に対応
  • 精神科・心療内科:気分の変化や行動の問題も相談できる
  • かかりつけ医(内科など):まず相談窓口として。専門医を紹介してもらえる

専門機関を探すのが難しければ、まずはかかりつけ医に相談するのが最もスムーズです。受診を促すときは、本人を責めない声かけが大切です。

「お母さん、最近少し疲れやすくなったみたいだから、一度先生に診てもらおうか。私も一緒に病院に行くから」というように、本人だけの問題にせず、家族が同行する姿勢を伝える一言が、受診への抵抗感をやわらげてくれます。

物忘れ外来での診察の様子
早めの受診が安心につながる

受診や生活支援を考えるときは、公的サービスも知っておくと安心です。知らないと損する!高齢者が使える公的サービス・補助制度まとめもあわせてご覧ください。

服薬管理も早期サインのひとつ

「薬の飲み忘れ」や「同じ薬を重複して飲んでしまう」といった様子も、認知症の初期に見られやすいサインです。日々の服薬状況は、本人よりも家族の方が変化に気づきやすい部分でもあります。

詳しい対策は高齢者の薬の飲み忘れ対策|服薬管理グッズと家族の工夫でも紹介していますが、まずは目で見てひと目でわかる管理道具を取り入れるのがおすすめです。日付が一目でわかる認知症の親に電子カレンダー時計|今日が分かる安心グッズと組み合わせると、生活リズムの乱れにも気づきやすくなります。なお、日常の服薬管理をサポートするアイテムとしてこちらも参考にしてみてください。

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家族としての関わり方

認知症が疑われるとき、本人を追い詰めない関わり方が何より大切です。「さっきも言ったでしょ」と責めてしまうと、本人は自分でもうまく説明できないもどかしさから、余計に不安や混乱を強めてしまうことがあります。

代わりに、「そうだったね、一緒に確認してみようか」というように、責めずに寄り添う声かけを意識してみましょう。ほんの一言の違いが、本人の安心感を大きく左右します。

やってはいけないこと

  • 「さっきも言ったじゃない!」と責める
  • 失敗を頭ごなしに怒る
  • 本人の前で「認知症かも」と話す
  • 何でも先回りしてやってしまう(本人の自立心を傷つける)

大切にしたいこと

  • 本人の気持ちや尊厳を尊重する
  • 穏やかにゆっくり話しかける
  • できていることを一緒に喜ぶ
  • 一人で抱え込まず、地域包括支援センターや専門機関に相談する

記憶は薄れても感情は残るといわれます。不安や孤独を感じさせない関わりが、症状の安定にもつながります。

穏やかに寄り添う家族と高齢者
寄り添う関わりが安心につながる

症状が進み、外出時の行方が心配になってきたら、認知症の徘徊、夏に増える危険とGPS見守り対策もあわせてご覧ください。

早期発見のあとは、脳を使う習慣を日常に取り入れることも、進行を穏やかにする助けになるといわれています。親子で一緒に取り組める夏の巣ごもりに|親と楽しむ塗り絵で脳トレ習慣のような手軽な方法から始めるのもおすすめです。Amazonで探す場合はこちらもチェックしてみてください。

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まとめ|今日からできる小さな一歩

  • 「物忘れ」と「認知症」の違いを知っておく
  • 早期サインのチェックリストを定期的に確認する
  • 気になることがあれば、地域包括支援センターやかかりつけ医にまず相談する
  • 本人を責めず、気持ちを大切にした関わりを心がける
  • 服薬管理や電子カレンダーなど、日常のちょっとした工夫を取り入れる

認知症は決して特別な病気ではなく、高齢化社会において誰にでも起こりうる身近なテーマです。次に実家に帰ったときは、ほんの数分でいいので、今日紹介したチェックリストを思い出しながら親の様子を見てみませんか。

小さな気づきが、本人と家族双方にとって、これからも穏やかな毎日を続けるための第一歩になります。まずは今日、電話やビデオ通話で「最近どう?」とひと声かけてみることから始めてみましょう。