夏の巣ごもりに|親と楽しむ塗り絵で脳トレ習慣

「こんな暑い日に外に出たら倒れてしまう」——猛暑が続くと、そう心配して親に外出を控えるよう伝えるご家庭は多いのではないでしょうか。ですが先日実家に顔を出すと、お父さんが一日中テレビの前でぼんやり座ったまま会話も心なしか少なくなっていて、ふと不安になった方もいるかもしれません。外出が減ると体だけでなく脳への刺激も減り、物忘れの進行が心配になります。そこで今回は、自宅で気軽に始められる「塗り絵」を使った脳トレ習慣について、その効果と続けるコツをご紹介します。

笑顔で過ごす高齢の女性と家族
家族との時間が脳の元気につながる

猛暑で外出が減ると親の脳に何が起きるのか

外出機会の減少が招く認知機能低下のリスク

国立長寿医療研究センターの調査でも、日常的な外出頻度と認知機能の維持には関連があることが指摘されています。買い物や近所づきあいなど、何気ない外出には道順を考えたり人と会話したりと、脳をフル回転させる要素がたくさん詰まっています。猛暑で外出が減ると、こうした自然な脳への刺激も一緒に失われてしまうのです。

会話や刺激が減ることで進む物忘れ

一人暮らしの親であればなおさら、誰とも話さずに一日が終わってしまうことも珍しくありません。「今日は誰とも話さなかった」という日が続くと、言葉を探す機会や記憶を呼び起こす場面が減り、物忘れが進んだように感じられることがあります。エアコンの効いた部屋にこもりがちな夏だからこそ、意識的に脳を使う時間をつくることが大切です。

特に塗り絵で使われるのは、判断や計画を担う前頭前野と言われています。「次はどの色を塗ろうか」「全体のバランスはどうか」と考えながら手を動かす作業は、単純な作業に比べて脳への刺激が大きいとされています。さらに、無心で色を塗る時間はストレスの軽減にもつながるといわれ、暑さでイライラしがちな夏の気分転換としてもおすすめです。テレビを眺めているだけの時間が、少しでも塗り絵に置き換われば、脳にとっても嬉しい変化になるでしょう。

「塗り絵」がなぜ脳トレとして注目されているのか

塗り絵は、色を選ぶ・はみ出さないように塗る・全体の配色を考えるといった複数の作業を同時に行うため、脳のさまざまな部位を使うと言われています。道具は色鉛筆と塗り絵帳があればすぐに始められ、体力を使わないため猛暑の日でも安心して取り組める点も魅力です。認知症の早期発見のポイントでも触れているように、日々のちょっとした変化に気づくためにも、親子で一緒に取り組む時間そのものが見守りにつながります。認知機能の低下が気になる場合は、自己判断せず必ずかかりつけ医にご相談ください。

今日から始める塗り絵習慣の作り方

今日からできること

まずは以下のような、始めやすい工夫から取り入れてみましょう。難しく考えず、気軽に道具を揃えるところからスタートするのがおすすめです。

  • 大きめの図案の塗り絵帳を選ぶ(細かすぎる図案は目や手が疲れやすい)
  • 色鉛筆は12〜24色程度の使いやすいセットから始める
  • 1回15〜20分程度、無理のない時間で区切る
  • 完成にこだわらず、途中でやめてもよいというルールにする

家族が連携してできること

「お母さん、これすごく綺麗に塗れてるね」と完成した作品を褒めることも継続の力になります。声かけ例として、「今度実家に帰ったら一緒に塗ろうね」「どの色を使うか一緒に選ぼうか」といった言葉をかけると、一人で黙々と取り組むよりも会話が生まれやすくなります。

高齢者の一人暮らしにおすすめの趣味の記事でも紹介しているように、趣味は孤独感の軽減にもつながります。離れて暮らす家族も定期的に電話で「今日はどんな絵を塗ったの?」と聞いてみると、日々の変化にも気づきやすくなるでしょう。

塗り絵帳を選ぶときは、書店や100円ショップの子ども向けコーナーではなく、「大人の塗り絵」「大人のぬりえ」と書かれた専用コーナーを探すのがポイントです。花や風景、曼荼羅模様など、大人向けの図案は見た目にも美しく、達成感を得やすいというメリットがあります。最初は季節の花や動物など、親しみやすいモチーフから選んであげると取り組みやすいでしょう。

テーブルで塗り絵を楽しむ様子
道具があればすぐに始められる

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塗り絵を長く続けてもらうための注意点・よくある失敗

塗り絵を勧めても、最初だけ盛り上がってすぐに飽きてしまうケースも少なくありません。せっかく道具を揃えたのに続かなかった、という声もよく耳にします。よくある失敗パターンとその対策を見ていきましょう。

  • 図案が難しすぎて途中で挫折する→まずはシンプルな図案から始める
  • 一人で黙々とやらせきりにしてしまう→ときどき一緒に取り組む時間をつくる
  • 目が疲れやすいのに長時間続けさせてしまう→こまめに休憩を挟み、部屋を明るくする
  • 猛暑での水分不足→エアコンを使いながら、こまめな水分補給も忘れずに

続けるためのちょっとした工夫

塗り絵を長続きさせるコツは、完璧を求めすぎないことです。「はみ出してもいいから好きな色で塗ってみて」と声をかけるだけで、気持ちが楽になり、取り組みやすくなる方もいます。また、完成した作品を写真に撮って家族のグループLINEで共有すると、「上手だね」「この配色いいね」といった会話が生まれ、塗り絵そのものが家族のコミュニケーションのきっかけになります。

「今日は誰とも話さなかった」という日が積み重なると、家族としてもつい心配が募ってしまうものです。ですが、毎日必ず電話をかけなければと気負う必要はありません。週に一度でも「今週はどんな絵を塗った?」と聞くだけで、親にとっては会話のきっかけになり、塗り絵に取り組む励みにもなります。無理のないペースで、長く続けられる見守りの形を家族で見つけていきましょう。

塗り絵は年齢を問わず取り組める趣味ですが、視力の低下が気になる場合は、線がはっきりした太めの図案を選ぶと塗りやすくなります。老眼鏡や拡大鏡を用意しておくと、より快適に楽しめるでしょう。ちょっとした工夫の積み重ねが、長く続けられる習慣づくりにつながります。

室内でできることは塗り絵だけではありません。涼しい朝夕の時間帯には軽い運動を組み合わせるのもおすすめです。見守り機能付き万歩計を使えば、無理のない範囲で体を動かしつつ、離れて暮らす家族も活動量を見守ることができます。塗り絵で脳を使い、運動で体を動かすというメリハリをつけることで、より効果的に猛暑の夏を過ごせるでしょう。

色鉛筆で塗り絵をする手元
こまめな休憩を挟みながら楽しむ

まとめ

猛暑で外出が減る夏だからこそ、塗り絵のような室内でできる脳トレ習慣を取り入れることは、親の脳の健康を守るだけでなく、家族との会話のきっかけにもなります。難しく考えず、まずは色鉛筆と塗り絵帳を一冊用意するところから始めてみませんか。「今度帰ったら一緒に塗ろうね」——その一言が、親子の新しい習慣の第一歩になるはずです。

今日、実家に電話をかけるついでに、色鉛筆と塗り絵帳を差し入れてみるのはいかがでしょうか。