知らないと損する!高齢者が使える公的サービス・補助制度まとめ

関連記事

「お父さん、介護保険のことは市役所に聞いてみた?」と尋ねると、「いや、面倒だし、うちはまだそこまで困ってないから」と返ってくる。多くの家庭で聞かれるやり取りではないでしょうか。

実は高齢者やその家族が使える公的サービス・補助制度は驚くほど多くあります。しかし、そのほとんどは「申請主義」、つまり自分から手を挙げて申請しない限り受け取れない仕組みになっています。「知らなかった」「面倒で後回しにした」という理由だけで、本来受けられるはずの支援やお金を逃してしまう高齢者は少なくありません。

この記事では、介護・医療・生活支援まで、高齢者と家族が使える公的サービス・補助制度をわかりやすく整理しました。離れて暮らす親がいる方も、ぜひ一緒に確認してみてください。

公園で会話する高齢者夫婦
制度の話も家族の会話から

なぜ「使えるのに使われていない」のか

厚生労働省の資料でも、介護保険や医療費助成の制度は年々整備が進んでいる一方、対象者への周知が十分に行き届いていない点が課題として挙げられています。制度が複雑で、どこに相談すればよいかわからないまま時間が過ぎてしまうケースが多いのです。

まずは、代表的な制度を一つずつ確認していきましょう。

近年はマイナポータルを使ったオンライン申請に対応する自治体も増えてきました。窓口に出向く時間が取りにくいご家庭は、対応の有無をお住まいの市区町村窓口へ確認してみるとよいでしょう。

1. 介護保険サービス

介護保険は、40歳以上の人が加入する公的保険制度で、要介護・要支援の認定を受けると様々なサービスを1〜3割の自己負担で利用できます。

利用できる主なサービス

サービス名 内容
訪問介護(ホームヘルパー) 自宅での身体介護・家事支援
訪問看護 看護師が自宅を訪問し医療ケアを行う
デイサービス(通所介護) 日中に施設で食事・入浴・リハビリなど
ショートステイ(短期入所) 数日〜数週間、施設に泊まることができる
福祉用具貸与 車いす・歩行器・ベッドなどをレンタル
住宅改修 手すり設置・段差解消などの費用補助

申請の流れ

  1. 市区町村の窓口または地域包括支援センターに申請
  2. 認定調査員が自宅に訪問
  3. 要介護度の認定(要支援1・2/要介護1〜5)
  4. ケアマネジャーによるケアプラン作成
  5. サービス開始

電話で相談する際は、こんな聞き方で十分です。

「父がまだ元気なんですが、将来のために介護保険について聞いておきたくて」と切り出せば、窓口の担当者が状況に合わせて案内してくれます。「まだ介護が必要な段階ではない」と思っていても、要支援1から申請できます。早めに相談しておくと安心です。

2. 高額介護サービス費制度

介護保険サービスを利用した際の自己負担額が、月ごとの上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。

自己負担の上限額(月額)

所得区分 上限額(月)
現役並み所得者(年収約383万円以上) 44,400円
一般(住民税課税世帯) 44,400円
住民税非課税世帯 24,600円
低所得者(年金収入80万円以下など) 15,000円

たとえば、ひと月の介護サービス費の自己負担が5万円かかった場合、上限を超えた分が後から返ってきます。申請は市区町村の窓口で行います。最初の申請後は自動的に支給されるようになる自治体が多いです。

3. 介護保険の住宅改修補助

要支援・要介護の認定を受けると、自宅の改修費用として最大20万円まで補助(支給)を受けられます。自己負担は1〜3割です。

補助の対象となる主な工事

  • 手すりの取り付け(廊下・浴室・トイレ・玄関など)
  • 段差の解消
  • 滑り止め・移動しやすくするための床材変更
  • 引き戸などへの扉の取り替え
  • 洋式便器への交換

注意点:工事前に市区町村への申請が必要です。事前申請なしに工事を行うと補助が受けられない場合があります。まずはケアマネジャーや市区町村窓口に相談しましょう。

💡 こちらのアイテムも参考になります

工事不要の浴槽用手すり工事不要の浴槽手すり2個セット
参考価格:¥1,780〜(楽天市場)
補助申請の前に、まず手軽に転倒対策を始めたい方に

「補助の申請はこれからだけど、まず今日から転倒を防ぎたい」という場合は、工事不要のタイプから試してみるのも一つの方法です。

高齢者を支える介護スタッフ
申請すれば頼れる支援がある

4. 福祉用具貸与・購入補助

介護保険では、日常生活に必要な福祉用具のレンタルや購入費の一部補助を受けられます。

レンタルできる主な用具(要支援・要介護度によって異なる)

  • 車いす・電動車いす
  • 歩行器・歩行補助つえ
  • 介護用ベッド(特殊寝台)・ベッド用手すり
  • 床ずれ防止用具
  • 段差解消スロープ

購入補助の対象(年間10万円まで・自己負担1〜3割)

  • 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
  • 入浴補助用具(シャワーチェアなど)
  • 簡易手すり(取り付け工事不要のもの)
  • 移動用リフトのつり具

5. 医療費の自己負担を減らす制度

① 高額療養費制度

医療費の自己負担額が月の上限を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。70歳以上の一般的な所得の方の場合、外来の上限は月18,000円(年間上限144,000円)、入院を含む場合は月57,600円が上限の目安です。

「限度額適用認定証」を事前に取得しておくと、支払い時から自己負担を上限額に抑えられます。加入している健康保険の窓口で申請できます。なお、個々の治療方針や体調に関わることは、必ずかかりつけ医にご相談ください。

② 後期高齢者医療制度

75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)になると、後期高齢者医療制度に移行します。医療費の自己負担が原則1割(現役並み所得者は3割)になります。

③ 医療費控除(確定申告)

1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合(または所得の5%を超えた場合)、確定申告をすることで税金の還付を受けられます。介護サービスの費用も対象になるものがあります。領収書は1年分まとめて保管しておくと、申告時にあわてずに済みます。

🛒 関連アイテムはこちら

医療費控除の領収書整理ファイルをAmazonで見る
確定申告前の書類整理をラクにするアイテムです

6. 自治体独自の見守り・生活支援サービス

介護保険とは別に、各市区町村が独自に提供しているサービスも多数あります。内容や条件は自治体によって異なりますが、代表的なものを紹介します。

よくある自治体独自サービス

● 緊急通報システムの貸し出し ボタンひとつで消防や委託業者に連絡できる端末を、無料または低価格で貸し出している自治体が多くあります。カメラで様子を確認できる見守りカメラと組み合わせて使う家庭も増えています。

● 配食サービス(宅配弁当) 栄養バランスのとれた弁当を自宅に届けてくれるサービス。配達時に安否確認を行う自治体もあります。

● 訪問型生活支援サービス 掃除・買い物・ゴミ出しなど、介護保険ではカバーしきれない生活支援を行います。一人暮らしの親を支える家族の工夫もあわせて参考にしてみてください。

● 移送サービス・外出支援 通院や買い物のための送迎を行うサービスです。

● 老人クラブ・通いの場 地域の高齢者が集まって交流できる場の提供。孤立予防・認知症予防にも効果的です。

これらは市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせると詳しく教えてもらえます。

7. 低所得者向けの生活支援制度

① 生活保護制度

収入や資産が一定基準を下回る場合に、生活費・医療費・介護費などが支給される制度です。「生活保護を受けると介護サービスが使えなくなる」というのは誤解で、生活保護受給者でも介護保険サービスを利用できます。

② 社会福祉協議会の生活支援

各都道府県・市区町村の社会福祉協議会では、生活に困っている方向けの貸付制度(緊急小口資金・福祉資金など)や、日常的なお金の管理・支払いをサポートする日常生活自立支援事業を実施しています。

③ 介護保険料の減免・猶予

収入が少ない方は、介護保険料が減額・免除になる場合があります。市区町村の窓口に相談してみましょう。

8. 地域包括支援センターに相談しよう

「どこに相談すればいいかわからない」という方は、まず地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

地域包括支援センターは、高齢者の生活・介護・健康・お金に関するあらゆる相談を無料で受け付けてくれる総合窓口です。国立長寿医療研究センターの調査でも、経済的な不安を早い段階で解消できた高齢者ほど、心身の健康を保ちやすい傾向が報告されています。「お金の話は聞きづらい」と感じても、まずは電話一本から始めてみましょう。

相談前に準備しておきたいものチェックリスト

初めて相談する際は、以下を手元に用意しておくと話がスムーズに進みます。

  • 本人の生年月日・健康保険証(後期高齢者医療被保険者証)
  • 介護保険被保険者証(お持ちの場合)
  • お薬手帳や、かかっている医療機関のメモ
  • 困っていることを箇条書きにしたメモ(睡眠・食事・外出・お金など)
  • 家族の連絡先(複数人いる場合は代表者を決めておく)

相談できること

  • 介護保険の申請方法
  • 利用できるサービスの案内
  • 認知症に関する相談
  • 成年後見制度の案内
  • 虐待・権利侵害の相談

「最近、母のもの忘れが気になって…」と感じている方は、認知症の早期発見チェックポイントもあわせて確認しておくと安心です。

お住まいの市区町村のホームページや、市区町村の窓口で最寄りの地域包括支援センターを検索できます。電話での相談も可能なので、気軽に問い合わせてみてください。

家族に付き添われ相談する高齢者
一人で抱え込まなくていい

まとめ

高齢者が使える主な公的サービス・補助制度をまとめると以下のとおりです。

  • 介護保険サービス:1〜3割の負担で様々な介護・生活支援を受けられる
  • 高額介護サービス費:月の自己負担が上限を超えたら払い戻しあり
  • 住宅改修補助:最大20万円の改修費を補助(手すり・段差解消など)
  • 福祉用具貸与・購入補助:車いす・介護ベッドなどがレンタル可能
  • 高額療養費制度:医療費の自己負担に上限あり、超過分は払い戻し
  • 自治体独自サービス:見守り・配食・移送など地域によって様々
  • 低所得者向け支援:生活保護・貸付制度・介護保険料の減免など

これらの制度は、申請しなければ受けられないものばかりです。「使えるかどうかわからない」という場合も、まずは地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談してみましょう。

次に実家に帰ったとき、あるいは今度電話をするときに、「こんな制度があるみたいだけど、知ってた?」とひと言添えてみてください。それが、親も家族も安心して暮らすための第一歩になります。