一人暮らしの親の宅配ボックス|訪問トラブルを防ぐ選び方

「ピンポーン」——実家に顔を出すと、玄関先でお母さんが身構えるようにインターホンの相手を確認している場面に出くわしたことはありませんか。宅配便なのか、それとも見知らぬ訪問販売なのか、モニター越しでは判断がつかず、出るべきか居留守を使うべきか、そのつど悩んでしまう。そんな一人暮らしの親は少なくありません。

実はこの「インターホン対応の気疲れ」は、宅配ボックスを取り入れることでかなり軽くできる場合があります。この記事では、一人暮らしの親を持つご家族に向けて、宅配ボックスが荷物の受け取りだけでなく、訪問トラブル対策としても役立つ理由と、選び方のポイントを紹介します。

自宅で穏やかに過ごす高齢の女性
一人暮らしの親の玄関先

なぜ一人暮らしの親はインターホン対応に気疲れするのか

宅配便か訪問販売か、モニター越しでは判断しづらい

最近は再配達の削減や非対面受け取りが一般的になり、宅配便の配達員も画面越しに一言告げてすぐ立ち去ることが増えました。しかし高齢の親にとっては、早口の説明や聞き慣れない業者名が聞き取りづらく、荷物を受け取るためだけに毎回玄関まで出向く必要があります。足腰に不安がある場合、この「その都度の応対」自体が地味に負担になっていることも少なくありません。

「はい、どちらさまですか」「〇〇運輸でーす、お荷物でーす」——インターホンの小さなスピーカーからは、早口の声が一瞬聞こえるだけのことも多く、親は「えっと、少々お待ちください」と焦りながら玄関まで向かうことになります。慣れた人には何でもないやり取りでも、耳が遠くなってきた親にとっては、それだけで気疲れする作業になっているのです。

配達を装った悪質な訪問にも注意が必要

警察庁の統計でも、高齢者を狙った特殊詐欺や悪質な訪問販売の相談は依然として高い水準で推移していると報告されています。宅配業者を名乗って玄関を開けさせる手口も報告されており、インターホンに出る回数が多いほど、こうしたリスクにさらされる場面も増えてしまいます。

「居留守」を選びにくく、断りきれないことも

インターホンに出てしまうと、そのまま玄関先で会話が始まり、必要のない点検商法や強引な勧誘を断りきれずに話し込んでしまうケースもあります。「せっかく来てくれたのだから」と無下にできない性格の親ほど、この負担は大きくなりがちです。電話でのやり取りに不安がある場合は、自動通話録音機で着信そのものを見直す方法もあります(詳しくはオレオレ詐欺対策|自動通話録音機の選び方で紹介しています)。玄関先の対応にも、これと似た不安が潜んでいます。

荷物の受け取りが外出の予定を縛ってしまうことも

「今日は荷物が届くから出かけられない」と、宅配便の時間指定のために予定を合わせてしまう親もいます。結果として、外出の機会や人と会う機会が減ってしまうのは、見守る家族としても気になるところではないでしょうか。

宅配ボックスでインターホン対応を減らす工夫

今日からできること:置くだけの簡易タイプから試す

戸建てで新たに穴をあけたり工事をしたりするのが難しい場合は、玄関先に置くだけの据え置き型から試すのがおすすめです。ダイヤル錠や南京錠で施錠でき、配達員が荷物を入れて立ち去るだけで受け取りが完了するため、親がインターホンに出る回数そのものを減らせます。集合住宅・賃貸の場合は、管理規約で設置が制限されていることもあるため、事前に管理会社へ確認しておくと安心です。

荷物のサイズに合わせて容量を選ぶ

紙おむつや飲料など、かさばる荷物を定期的に受け取っている場合は、容量に余裕のある大型タイプを選ぶと安心です。逆に容量が小さすぎると「入らないから」と結局対面で受け取ることになり、せっかく導入した意味が薄れてしまいます。普段どんな荷物が多いか、親と一緒に振り返ってからサイズを決めるとよいでしょう。

家族が連携してできること:見守り機器と組み合わせる

宅配ボックスの導入と合わせて、来訪者の様子を映像で確認できる見守り機器を組み合わせると、さらに安心感が高まります。宅配ボックスに気づかず来訪者に対応しようとしてしまう場面のフォローには、以前紹介したスマートドアホン・屋外カメラの選び方も参考になります。また、日々の食事の受け取りにも同じ発想を活かせます。非対面で受け取れる宅配弁当を利用している場合、宅配ボックスと組み合わせることで「出なくていい」場面をさらに増やせます。

宅配ボックスと一口に言っても種類はさまざまです。購入前に、次のようなポイントを親の生活に合わせてチェックしておくと選びやすくなります。

  • 容量:普段受け取る荷物の大きさ・個数に対応できるか
  • 防水性:雨風の当たる場所に置いても大丈夫か
  • 施錠方式:ダイヤル錠か鍵付きか、親が扱いやすいか
  • 設置スペース:玄関先や庭に無理なく置けるか
  • 価格帯:工事の要否も含めた総額
玄関前に置かれた荷物
宅配ボックスなら受け取りも安心

なお、日常使いできるアイテムとしてこちらも参考にしてみてください。

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音が静かで、荷物が複数届いても対応しやすいタイプです

賃貸や工事が難しいお宅には、据え置くだけのタイプも選択肢になります。

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据え置き型の防水宅配ボックス工事不要の据え置き型宅配ボックス
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置くだけで使え、賃貸のお宅にも取り入れやすいタイプです

導入前に知っておきたい注意点

集合住宅・賃貸では設置可否の確認を忘れずに

共用部分に据え置く場合や外壁に固定するタイプの場合、管理規約や近隣とのスペースの兼ね合いで設置できないこともあります。購入前に設置予定の場所を写真に撮り、管理会社や大家さんに相談しておくとスムーズです。

荷物の傷みやいたずら対策も考えておく

真夏や真冬は宅配ボックス内の温度差で、食品や薬などが傷んでしまうこともあります。生鮮食品や常温保存が難しいものは、これまで通り対面で受け取るよう親と決めておくと安心です。防水性能や施錠の有無も、購入前に必ず確認しておきましょう。

親自身が使い方に慣れるまでは家族のフォローを

新しい機器の操作に不慣れなうちは、ダイヤル錠の番号を忘れてしまったり、荷物の取り出し方がわからず困ってしまったりすることもあります。導入して終わりにせず、最初の数回は一緒に操作を確認し、覚えやすい番号に設定してあげるとよいでしょう。

古い木製の玄関扉
玄関まわりの見直しから

「出なくていい」場面を、少しずつ増やしていく

先日、実家の母に据え置き型の宅配ボックスを勧めたときのことです。最初は「そんな大げさな」と渋っていた母でしたが、実際に使い始めてからは「知らない人と話さなくていいから気が楽になった」と話してくれました。ちょっとした変化ですが、日々のインターホン対応のストレスが減ったことで、表情も心なしか穏やかになった気がしています。

すべての来訪に備える必要はありません。まずは荷物の受け取りという一場面から、「出なくていい」を増やしてみてはいかがでしょうか。次に実家に帰ったときは、玄関まわりの様子を一緒に眺めながら、どんな工夫ができそうか話してみてください。


この記事の執筆者について

介護福祉の現場で22年以上、訪問介護や高齢者施設での勤務、自宅での家族介護を経験してきました。現在も遠方に暮らす高齢の家族がおり、「離れて暮らす家族を見守る」ことの難しさを実感者として日々感じています。本記事も、そうした現場と実生活の両方の経験をもとに執筆しています。

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