「え、お母さん、その電話に出ちゃったの?」——秋のお彼岸で帰省したとき、実家の食卓でそんな話を聞いてヒヤッとした方も多いのではないでしょうか。「税務署から医療費の還付金があるので、この番号にかけ直してください」という留守電が入っていた、というのです。9月から年末にかけては、還付金や年末調整をかたる詐欺電話が増える時期でもあります。犯人がまず狙うのは、多くの場合、自宅の固定電話です。この記事では、電話をきっかけに起こる詐欺被害を防ぐために、家族ができる日々の備えと、自動通話録音機や迷惑電話ブロック機能付き電話機の選び方を詳しく解説します。「うちの親に限って」と思わず、ぜひ最後まで読んで今日から実践してみてください。

秋から年末にかけて詐欺電話が増える理由
還付金詐欺・年末調整詐欺の典型的な手口
「税金や医療費の還付金があるのでATMを操作してほしい」と市役所や税務署の職員を装って持ちかける還付金詐欺は、確定申告シーズンだけでなく、年末調整の話題が出やすい秋以降にも増加します。「俺だけど、携帯を落として番号が変わった」と息子や孫を名乗るオレオレ詐欺、警察官や金融庁職員を名乗り「口座が犯罪に使われている」と不安を煽る詐欺も後を絶ちません。手口は年々巧妙になっていますが、共通しているのは最初の接触が「一本の電話」であるという点です。
高齢者が狙われやすい理由
日中は在宅している時間が長く固定電話に出やすいこと、名簿業者を通じて個人情報が流通していること、そして「今すぐ手続きしないと間に合わない」というプレッシャーをかけられると冷静に判断しづらいことなどが背景にあります。真面目で人を疑いにくい性格の方ほど、かえって狙われやすい傾向があるとも言われています。
実際にあった例では、「本日中に還付金の手続きをしないと権利が消滅する」という電話を受けた高齢の女性が、慌てて近所のコンビニATMに向かったところ、店員が異変に気づいて声をかけ、被害を未然に防げたというケースもあります。もし親が同じような電話を受けたら、と考えると他人事ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。
自動通話録音機・迷惑電話ブロック電話機の選び方
詐欺電話の被害を防ぐうえで、家族の声かけと並んで頼りになるのが「機器の力」です。今使っている電話機を活かせる後付けタイプと、電話機ごと買い替えるタイプの2種類があり、それぞれ向き・不向きがあります。
後付けタイプ:今の電話機をそのまま使いたい方に
後付けタイプは、今お使いの電話機と電話回線の間に接続するだけで、着信時に「この通話は防犯のため録音されます」という警告メッセージを自動再生してくれる製品です。犯人は録音を嫌う傾向が強いため、警告メッセージが流れるだけで電話を切ってしまうケースも多く、電話機を買い替えずに済むのも利点です。
買い替えタイプ:迷惑電話ブロック機能内蔵の電話機
電話機自体の買い替えを検討しているなら、ナンバーディスプレイと連動して未登録番号の着信を自動でブロックしたり、警告アナウンスを流したりする機能があらかじめ搭載されたタイプが便利です。ボタンが大きく表示が見やすいシニア向けモデルも増えており、操作の負担が少ないことも選ぶ際のポイントになります。
選ぶときのチェックポイント
- 警告アナウンス・自動録音機能が搭載されているか
- ナンバーディスプレイ対応で発信元を表示できるか
- 親本人が迷わず設定・操作できるシンプルなボタン配置か
- 今の電話回線(アナログ・光電話)に対応しているか
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今お使いの電話機に後付けできる通話録音タイプ
電話機自体を買い替えるタイミングであれば、迷惑電話ブロック機能があらかじめ搭載されたタイプも便利です。
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家族でできる対策
留守電設定と「合言葉」の習慣
機器に頼るだけでなく、今日からできることもあります。まず取り入れたいのが、電話は常に留守番電話設定にしておき、知らない番号からの着信には出ないというルールです。犯人は録音を嫌う傾向があるため、それだけでもターゲットから外れやすくなります。もし電話に出てしまっても、その場で結論を出さず「家族に確認してからかけ直す」と伝える練習をしておくことも大切です。
家族間で「合言葉」を決めておくのも効果的です。例えば親が電話で「本当に○○(息子の名前)なの?」と聞き返し、事前に決めた合言葉が返ってこなければ電話を切る、というルールを作っておきましょう。「もしもし、俺だけど声が変だね」と切り出されたら、まずは「俺って誰?名乗ってから話して」と聞き返す習慣をつけるだけでも、犯人の想定していた会話の流れを崩すことができます。
離れて暮らす家族の連携がいちばんの予防策
詐欺被害の多くは、離れて暮らす家族との連絡が少なく、本人が一人で判断せざるを得ない状況で起きています。私自身、遠方の家族と月に数回しか話せない時期があり、実家に何かあってもすぐには気づけないもどかしさを感じたことがあります。スマホが苦手な高齢の親と繋がる家族の連絡術も参考に、週に一度は電話やビデオ通話で近況を話す時間を作り、「何かあったらすぐ連絡してね」と伝えておくことが、結果的に一番の予防策になります。
電話対策と合わせて、玄関先からの訪問販売や偽の点検業者といった「対面型」の詐欺にも注意が必要です。親の家の防犯対策|スマートドアホン・屋外カメラの選び方のように、来訪者を確認できる仕組みを整えておくと、電話だけでなく訪問をきっかけにした詐欺への備えにもなり、防犯・安全の両面で親の一人暮らしを支えやすくなります。

- 固定電話は常に留守番電話設定にし、知らない番号にはすぐ出ない
- 「振り込んで」「ATMへ行って」と言われたら一度電話を切り、家族に確認する
- 合言葉を決めて、電話口で相手に名乗らせる習慣をつける
- 週に一度は家族から電話をかけ、近況を話す時間を作る
導入後の注意点・よくある失敗
通話録音機や迷惑防止電話機を導入しても、実際に「留守番電話設定」や「非通知拒否設定」を有効にしていなければ効果は半減してしまいます。購入して満足せず、設定まで一緒に確認してあげることが大切です。
また、機器を入れたことで家族が「もう安心」と思い込み、声かけの頻度が減ってしまうケースも見られます。機器はあくまで補助であり、家族との会話こそが一番の防波堤になることを忘れないようにしましょう。
- 留守番電話・ナンバー表示機能を実際にオンにしているか確認する
- 「振り込んで」「ATMに行って」という言葉が出たら一度電話を切る習慣をつける
- 不審な電話があったら、家族だけでなく最寄りの警察署や消費生活センターにも相談する
- 機器を導入した後も、月に一度は使い方を一緒に振り返る
不安な点や実際に被害に遭いそうになった場合は、一人で抱え込まず、警察相談専用電話(#9110)や消費生活センターなど信頼できる窓口に早めに相談することも忘れずに伝えておきましょう。
SMS・LINEを使った新しい手口にも注意
最近では固定電話だけでなく、SMSやLINEを使って「宅配便の不在通知」や「税金の未払い通知」を装いニセサイトに誘導する手口も増えています。年末は宅配便の利用が増える時期でもあり、こうしたメッセージに心当たりのない親が反応してしまうリスクも高まります。
国民生活センターも繰り返し注意を呼びかけているとおり、心当たりのないメッセージ内のリンクは開かない、少しでも不審に思ったら家族に画面を見せて相談する、という習慣も併せて伝えておくと安心です。電話とスマホ、両方の対策をセットで考えておくことが、これからの時期はより重要になってきます。

まとめ
特殊詐欺の多くは、一本の電話やメッセージから始まります。自動通話録音機や迷惑防止機能付き電話機といった「機器の力」と、合言葉・こまめな連絡といった「家族の連携」を組み合わせることで、被害のリスクは大きく減らせます。高齢の親が一人暮らしを続けるために家族ができることもあわせて読みながら、年末に向けて備えを見直してみてください。
お彼岸やお盆で実家に帰るタイミングは、電話機の設定を一緒に確認する絶好の機会です。今度実家に顔を出したら、まずは電話機の留守番設定を一緒にチェックすることから始めてみませんか。
この記事の執筆者について
介護福祉の現場で22年以上、訪問介護や高齢者施設での勤務、自宅での家族介護を経験してきました。現在も遠方に暮らす高齢の家族がおり、「離れて暮らす家族を見守る」ことの難しさを実感者として日々感じています。本記事も、そうした現場と実生活の両方の経験をもとに執筆しています。
