高齢の親の停電対策|防災ラジオ・ランタンの選び方

11月に入り、今シーズン初めての大雪予報が出た夜、一人暮らしのお父さんに電話をかけてみたら応答がない——そんな経験はないでしょうか。大雪や強風で電線がダメージを受けると、停電は数時間だけでなく、時には丸一日以上続くこともあります。

停電になるとテレビが消え、スマートフォンの充電もできなくなり、必要な情報が入ってこなくなります。特に一人で過ごす時間が長い高齢の親にとっては、何が起きているのか分からないまま過ごす時間そのものが、大きな不安につながります。この記事では、停電時にも親が安心して過ごせる防災ラジオ・ランタンの選び方と、家族で今日から確認しておきたい備え方をご紹介します。

停電時に懐中電灯を持つ様子
停電はいつ起きるか分からない

高齢の一人暮らしに停電が特に危険な3つの理由

情報が届かなくなる怖さ

停電になると、避難情報や交通機関の状況、台風や大雪の進路といった大切な情報が届かなくなります。高齢の親はスマートフォンでの情報収集に慣れていない方も多く、停電時にどう情報を得ればよいか分からず、不安な時間を一人で過ごすことになりがちです。

「今、外はどうなっているのだろう」「避難したほうがいいのだろうか」と一人で判断を迫られる状況は、離れて暮らす家族が思う以上に心細いものです。実際に何が起きているか分からないまま数時間を過ごすことは、想像以上に大きなストレスになります。

暖房が止まることで高まる低体温と持病の悪化

冬場の停電で特に心配なのが、暖房が使えなくなることによる低体温のリスクです。高齢者は寒さを感じにくくなっていることがあり、気づかないうちに体が冷えてしまうことがあります。持病のある方であれば、冷蔵庫が止まって薬の保管に影響が出ることも考えられます。

停電が数時間で終わればよいですが、大規模な災害では復旧までに丸一日以上かかることも珍しくありません。持病があり体調に不安がある場合は、日頃からかかりつけ医にご相談のうえ、常備薬の保管方法や非常時の対応についても確認しておくと安心です。なお、寒さによる体調の変化が気になるときも、自己判断せず早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

「うちは大丈夫」と思い込みがちな親心理

実家の親に防災対策の話をすると、「今まで大きな停電なんてなかったから大丈夫」と軽く受け止められてしまうことはないでしょうか。長年その土地で暮らしてきた自負もあり、備えの必要性をなかなか実感してもらえないケースは多くあります。

私自身、昨年の冬に遠方の実家が半日近く停電した経験があります。電話もつながらず、何もできないまま時間だけが過ぎていく感覚は、今でもはっきりと覚えています。災害は「今まで大丈夫だったから今後も大丈夫」とは限らないのだと、身をもって実感しました。

家族から「もしもの時のために」と具体的なグッズを一緒に選ぶことで、押しつけがましくなく備えを進めやすくなります。次にご紹介する防災ラジオやランタンも、そうした会話のきっかけとして役立ててみてください。

停電時に頼れる防災ラジオの選び方

防災ラジオを選ぶ際に大切なのは、機能の多さよりも、いざという時に迷わず使えるかどうかです。ボタンが少なくシンプルな操作のもの、AM/FMラジオに加えてスマートフォンの充電ができるモバイルバッテリー機能付きのものを選んでおくと安心です。

手回し充電やソーラー充電にも対応しているタイプであれば、電池切れの心配も減らせます。実際に親と一緒に一度使い方を試しておくと、いざという時に慌てずに済みます。「このボタンを押すとラジオがつくよ」「ここを回すと充電できるよ」と実演しながら伝えることで、記憶にも残りやすくなります。

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両手が自由になるLEDランタンの選び方と置き場所

停電で困ることの一つが、夜間の照明です。懐中電灯は片手がふさがってしまい、高齢の親には少し不便に感じられることもあります。その点、置くだけで部屋全体を照らせるLEDランタンは、両手が自由に使えて安全に移動しやすく、トイレや廊下など足元を照らす用途にも向いています。

ラジオと同様、手回しやUSB充電に対応したものを選んでおくと、電池が手元になくても安心です。枕元やリビングのテーブルなど、すぐ手が届く場所に置いておく習慣をつけておきましょう。

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停電時のろうそくの明かり
明かりの備えも忘れずに

停電が長引いた時の安否確認と連絡手段

停電が長引くと、家族への連絡手段も限られてきます。あらかじめ「災害用伝言ダイヤル(171)」の使い方を親と一緒に確認しておいたり、電話がつながらない時に備えてSNSやメールなど複数の連絡手段を決めておくと安心です。

「まずは171に自分の状況を吹き込んでおいてね」「つながらない時はSNSに一言だけでも投稿してね」など、具体的な行動をあらかじめ決めておくことで、いざという時に親も迷わず動けるようになります。年に一度、体験利用日に合わせて実際に試してみるのもおすすめです。

また、停電だけでなく断水が同時に起こることも考えられます。断水時の簡易トイレの備えや、防災リュックの中身も合わせて見直しておくと、停電以外のトラブルにも落ち着いて対応しやすくなります。停電時にすぐ助けを呼べるよう、緊急通報ボタンと合わせて備えておくのもおすすめです。

家族で確認しておきたい「よくある失敗」チェックリスト

防災グッズを揃える際には、いくつかの「よくある失敗」にも注意しておきましょう。せっかく用意しても、実際に使えなければ意味がありません。

  • 買ったまま使い方を確認せず、いざという時に操作が分からない
  • 押し入れの奥にしまい込み、どこにあるか本人が忘れてしまう
  • 電池や充電の状態を定期的に確認していない
  • 厚手の毛布やカイロなど、防寒グッズと一緒に保管していない
  • 離れて暮らす家族との連絡手段や安否確認の方法を決めていない

半年に一度など、家族が実家に帰ったタイミングで一緒に動作確認をする習慣をつけておくと安心です。訪問介護の現場でも、停電時にラジオの使い方が分からず慌ててしまう高齢の利用者を何度も見てきました。実際に触って覚えておくことの大切さを、現場でも強く感じています。

自治体によっては、総務省消防庁や内閣府(防災担当)の案内をもとに、一人暮らしの高齢者を対象にした避難支援の仕組みを用意している場合があります。お住まいの地域包括支援センターに一度確認してみるとよいでしょう。

高齢の夫婦が会話する様子
日頃の会話が備えにつながる

まとめ

停電や災害は、いつ起こるか予測できません。だからこそ、操作が簡単な防災ラジオやランタンを日頃から備えておくことは、離れて暮らす家族にとっても大きな安心材料になります。

特に一人暮らしの親であれば、防災グッズは「もらったから置いてある」ではなく「自分で使える」状態にしておくことが何より大切です。家族が定期的に声をかけ、一緒に見直す機会をつくることが、日々の安心につながります。

次に大雪や台風の予報を見たら、真っ先に「実家の停電対策は万全か」が頭に浮かぶように、今日のうちに一本、実家に電話をかけてみてください。


この記事の執筆者について

介護福祉の現場で22年以上、訪問介護や高齢者施設での勤務、自宅での家族介護を経験してきました。現在も遠方に暮らす高齢の家族がおり、「離れて暮らす家族を見守る」ことの難しさを実感者として日々感じています。本記事も、そうした現場と実生活の両方の経験をもとに執筆しています。

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