一人暮らしの親が倒れたら?緊急通報ボタンの選び方

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先日、実家に電話をかけても父が出ず、胸がざわついたという経験はありませんか。折り返しの電話でようやく「庭で転んで動けなかった」と聞かされ、血の気が引いた方も多いはずです。一人暮らしの高齢の親が突然体調を崩したり転んだりしたとき、すぐに助けを呼べる手段があるかどうかは、その後の回復や命の安全を大きく左右します。この記事では、緊急通報ボタンの仕組みや選び方、そして家族が今日からできる備えについて、具体的にお伝えします。

高齢の親と電話で会話する家族
もしもの時の備えを考える

一人暮らしの高齢者に「もしも」が起きやすい理由

夏場は熱中症や体調急変が増える

気温が高い日が続くと、高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくくなり、気づかないうちに脱水や熱中症へと進んでしまうことがあります。自宅の中で倒れてしまっても、周囲に人がいなければ誰にも気づいてもらえません。高齢者の熱中症対策2026年版でも紹介しているように、暑さへの備えと同時に「もしもの時にすぐ助けを呼べる仕組み」を用意しておくことが欠かせません。

暑さで体力を消耗した状態のまま浴室に入ると、立ちくらみで意識が遠のくこともあります。エアコンをつけていても、電気代を気にして扇風機だけで済ませてしまう高齢者も少なくありません。「お父さん、ちゃんとクーラーつけてる?」と電話で確認するだけでも、予防につながります。

転倒しても、すぐに助けを呼べないことが多い

浴室や廊下、庭先など、家の中でも転倒のリスクがある場所は少なくありません。転んだ拍子に足腰を痛めてしまうと、電話やスマートフォンのある場所まで這っていくことすら難しくなります。高齢者の転倒事故対策で環境面の工夫をしていても、実際に転んでしまった後に「助けを呼べるか」はまた別の課題として残ります。

一人暮らしの父が浴室で滑って動けなくなり、翌朝新聞がたまっていることに気づいた近所の方が異変を知らせてくれた、という話も珍しくありません。周囲の目に頼るだけでなく、本人自身がその場で助けを呼べる仕組みを持っておくことが安心につながります。

発見の遅れが重症化・孤独死につながる不安

体調の急変や転倒から発見までの時間が長引くほど、症状は重くなりやすいと言われています。「もし何日も気づかれなかったら」という不安を抱えながら暮らしている子世代も多いのではないでしょうか。連絡が数日つかないだけで、遠方に住む家族は仕事も手につかなくなってしまうこともあります。高齢の親が一人暮らしを続けるために家族ができることと合わせて、緊急時の備えを考えていきましょう。

実際に「様子がおかしいと思ったらすぐ連絡してね」と伝えていても、離れて暮らしていると異変そのものに気づけないことがほとんどです。だからこそ、親自身が助けを呼べる手段を持っておくことが、家族の心理的な負担を軽くすることにもつながります。

緊急通報ボタンの選び方と使い方

今日からできる比較ポイント

緊急通報ボタンにはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。選ぶ前に、次のようなポイントをチェックしておくと安心です。

  • ボタン一つで通報できるか(操作が複雑でないか)
  • 首から下げる、腕につけるなど、常に身につけやすい形状か
  • 浴室でも使えるよう防水仕様になっているか
  • 月額料金や初期費用、契約期間の縛りがあるか
  • 通報先が家族の携帯電話か、警備会社やコールセンターか

最近では、ボタン式の据え置き型に加え、腕時計のように身につけられるタイプや、スマートフォンのアプリに通知が届くタイプも増えています。操作に不慣れな方には、ボタンが大きくシンプルな据え置き型が向いていますし、外出中の転倒も心配なら携帯型を選ぶとよいでしょう。

お住まいの市区町村では、ひとり暮らし高齢者を対象に緊急通報システムの機器貸与や設置費用の助成を行っている場合があります。厚生労働省も、在宅高齢者の安否確認や緊急時対応を自治体と連携して支援しており、まずは地域包括支援センターや役所の福祉窓口に相談してみるのもひとつの方法です。

月額料金は業者によって幅があり、無料や数百円程度の低価格帯から、駆けつけサービス付きで数千円程度のものまでさまざまです。複数の業者やサービスを比較しながら、親の生活スタイルや予算に合ったものを一緒に選んであげましょう。

家族が連携してできること

機器を用意するだけでなく、実際に使ってもらえるように家族側の働きかけも大切です。例えば「お父さん、これ首にかけておいてね。何かあったらボタン押すだけだから」と、操作の簡単さを一緒に確認しながら渡すと、抵抗感が和らぎます。

「もしボタンを押しても誰も出なかったらどうしよう」と不安がる親御さんには、「警備会社のスタッフが必ず駆けつけてくれるタイプもあるから、24時間誰かがそばにいるのと同じだよ」と伝えると安心してもらいやすくなります。

導入後も月に一度は「ちゃんと鳴るか、一緒にテストしてみようか」と声をかけ、電池切れや誤作動がないか確認する習慣をつけましょう。定期的にやり取りすることで、機器の点検だけでなく親子の会話のきっかけにもなります。

高齢者と家族が一緒に相談する様子
家族で一緒に確認する習慣を

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導入時の注意点・よくある失敗

導入したものの、実際にはうまく活用できていないケースも少なくありません。よくある失敗としては、次のようなものが挙げられます。

  • ボタンを身につけず、リビングや寝室に置きっぱなしにしてしまう
  • 電池切れや通信状態を確認せず、いざという時に作動しない
  • 月額料金や契約内容をよく確認せず、後から想定外の費用に驚く
  • 家族の連絡先が古いままで、通報が届いても連絡がつかない

特に「恥ずかしいから」「まだ元気だから」という理由で、せっかく用意した機器を使ってもらえないことがあります。無理強いをせず、「もしもの時、家族が安心できるから」というように、本人の気持ちに寄り添いながら少しずつ習慣にしていくことが大切です。持病がある場合や体調に不安がある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

また、緊急通報ボタンひとつに頼りきってしまうのも注意が必要です。電波が届きにくい場所や、電池切れなど機器のトラブルはどうしても起こり得ます。定期的な電話連絡や訪問と組み合わせることで、複数の見守りの目を確保しておくと、より安心につながります。

電話で近況を伝え合う高齢者
日々の小さな確認が安心につながる

「うちはまだ大丈夫」と思っていても、暑さや体調の変化は誰にでも突然訪れます。備えておくことで、いざという時に後悔せずに済みます。

まとめ

離れて暮らす親の「もしも」に備えることは、決して大げさなことではありません。緊急通報ボタンひとつで、助けを呼べるまでの時間が大きく変わり、親本人だけでなく家族の安心にもつながります。導入は特別なことではなく、日々の暮らしに寄り添う小さな備えのひとつです。

まずは今日、実家に電話をして「こんな機器があるみたいだけど、どう思う?」と話題にしてみることから始めてみませんか。国立長寿医療研究センターなども、高齢者の在宅生活を支える見守り機器の活用を呼びかけています。小さな一歩が、家族みんなの安心につながります。